法人企業・個人事業主の税務・会計・申告・節税対策

税理士からのメッセージ

2018年06月05日

所得拡大促進税制の改組

3月決算法人の申告業務が終わり、年末から続いた繁忙期が一段落しました。
梅雨入りが発表され蒸し暑くぐずついた天気が続きますが、その一方で夏の訪れが楽しみです。

今回は平成30年度税制改正のうち、中小企業者の所得拡大促進税制の上乗せ措置についてお話ししたいと思います。

今回の改正では、継続雇用者給与等支給額が前年度比1.5%以上の増加で、給与等支給総額の対前年度増加額の15%の税額控除が適用可能となりました。

さらに本改正では、賃上げ増加率が2.5%以上かつ、1)当期の教育訓練費が前期の教育訓練費の1.1倍以上、2)経営力向上計画に記載された経営力向上が確実に行われたことの証明、のいずれかの要件を満たせば控除率が10%(合計25%)上乗せ可能となっています。

1)の場合、教育訓練費の支出が前期はゼロで当期に教育訓練費の支出がある場合の取り扱いが問題となりま
す。
この点に関し政令によると、前期の教育訓練費の額がゼロだった場合でも当期の教育訓練費の額がゼロでなければ要件を満たすとしています。
つまり、当期の教育訓練費の支出が1円でもあれば要件を満たすことになると解釈できます。
この点から、教育訓練費を利用した税額控除の上乗せ措置は適用しやすいように感じます。

ここでいう教育訓練費ですが、政省令によると、中小企業が国内雇用者対して教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものを自ら行う場合は、これら教育訓練等に支払うために講師等に支払う報酬等や旅費のうち中小企業が負担するもの、施設や設備の賃借費用など、中小企業が教育訓練等を委託する場合や外部の教育訓練等に参加させる場合は外部の者に対して支払う費用や授業料などが該当するとされています。

欠損法人は7年連続で減少し、景気は上向き傾向にあるとされる昨今ですが、今回のような税額控除を利用することで、人材への積極的な投資が益々推進されると良いですね。

なお、この教育訓練費の要件で控除額の上乗せを受ける場合は、適用を受ける事業年度(個人は年分)の確定申告書等に教育訓練等の実施時期、内容、対象となる国内雇用者の氏名、費用を支出した年月日、金額、相手先の氏名等を記載した書類の添付義務があります。

posted by 山崎義孝税理士 at 10:00| 改正税法

2018年05月08日

租税法律主義

ゴールデンウィークが終わり、行楽や帰省等で連休の疲れが残っている方も多いことと思います。
大型連休が終わり7月まで祝日はありませんが、気持ち新たに頑張っていきたいものです。

さて、ゴールデンウィーク中の5月3日は憲法記念日でした。
憲法9条が話題になることの多い昨今ですが、租税に関する規定も憲法にはあります。
そこで今回は、租税と憲法に関して簡潔ですがお話させていただきます。

憲法第30条は「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」と規定し、憲法第84条は「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」と規定(租税法律主義)しています。
つまり、納税義務の内容(課税要件)及び租税の賦課・徴収の手続きには法律の根拠が必要ということであり、法律の根拠なしに納税の義務を負うことはないということになります。
また、課税要件はその内容を明確に規定しなければならないとされています。

このように、法律に租税の賦課・徴収の根拠や明確な規定を求めているのは、国民の経済生活に法的安定性と予測可能性を与えるためでもあると言われています。
しかしながら、所得税法や法人税法など、租税に関する様々な法律が定められているなかで解釈の難しい文言も数多く存在し、納税者側と課税庁側での法解釈をめぐる争いもしばしば起きています。
法的根拠はもちろんのこと、その条文内容の明確化が重要であると考えさせられます。

「税金は取られる」というイメージが根強くありますが、公共サービスの提供等により、私たちに還元されている一面も存在します。
有意義な活用を期待したいですね。

連休中に自動車税の納税通知書が届きました。
この時期は自動車税をはじめ、固定資産税や住民税など、今年度分の地方税の賦課決定及び納税通知が始まります。
もちろんですが、前述のようにこれらの税金も法律等により定められており納税の義務が生じます。

ゴールデンウィーク終了の悲しみを乗り越え、納税手続きを行う所存です。

皆さん、ゴールデンウィークはいかがでしたでしょうか。

posted by 山崎義孝税理士 at 15:00| 参考

2018年04月05日

事業承継税制

桜が見ごろとなるなか、新年度が始まりました。
食品の値上げ等ネガティブなニュースも多いですが、新たな気持ちで物事を始める良い機会でもあります。

社会では新入社員の活躍が始まりますが、その一方で後継者不足が問題となっており、今後10年の間に日本企業全体の約3割が後継者未定の状況になるといわれています。
今回は平成30年度税制改正のうち、事業承継税制のお話をさせていただきます。

今回の改正は、事業承継を進めていく際の贈与税・相続税の負担減を中心とした内容となっており、生前での対策手段で補いきれない程の株式評価がある会社には有効な手段の一つとなりそうです。
改正内容は以下のとおりとなります。

<納税猶予の適用対象株式>
・発行済議決権株式総数の3分の2 → 全株式

<納税猶予割合>
・相続税額の80% → 100%
※贈与税額の猶予割合100%は変更なし

<雇用確保要件>
・承継後5年間における雇用平均が、贈与時又は相続時の雇用の8割を維持
→ 現行要件を満たせない場合でも、認定支援機関の指導助言、経営悪化等の旨を付した書類を都道府県に提出した場合、納税猶予は継続

<被承継者・承継者要件>
・代表権を有する又は有していた先代経営者1人からの株式承継のみ適用
→ 先代経営者以外の株主から承継された株式も贈与税申告を要件に適用の対象
・代表権を有している又は有する見込みである後継者1人への承継のみ適用
→ 代表権を有する者(最大3名)への承継も適用の対象

<経営環境変化時における減免制度>
・解散・合併・譲渡等を行った際の税額の計算は、承継時の株価を基に算出
→ 解散・譲渡時の評価額を基に納付額を再計算し当初の納税猶予額との差額を減免

<相続時精算課税の適用>
・相続時精算課税制度の適用対象者は、贈与者の直系卑属等のみ
→ 贈与者の推定相続人以外の者も適用の対象

なお、平成35年3月31日までの間に特例承継計画を都道府県に提出した場合に限り、本特例の適用が可能となり、平成30年1月1日から平成39年12月31日までの10年間に限り相続又は贈与について適用されます。

posted by 山崎義孝税理士 at 09:55| 改正税法
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