法人企業・個人事業主の税務・会計・申告・節税対策

税理士からのメッセージ

2024年12月02日

103万円の壁

今年も残すところ、あと1ヶ月となりました。

今年は、1月の能登半島地震、7月のパリ五輪、10月の衆議院選挙など、様々な出来事がありました。
衆議院選挙では、15年ぶりに自民・公明の与党の獲得議席数が過半数割れする結果となり、その一方で今回の選挙で躍進した国民民主党が、この先の政権運営においてカギを握る存在として脚光を浴びています。

その国民民主党が選挙公約に掲げていた「手取りを増やす」ための政策として、「103万円の壁」の見直しを与党に求めています。

「103万円の壁」とは、給与収入が103万円を超えると所得税が課税され始める年収額を指します。
この所得税の課税を回避するために労働時間を調整し、それにより人手不足をより深刻にしてしまうという問題が発生しています。

今回の要望は、基礎控除の最高控除額(48万円)と給与所得控除の最低控除額(55万円)の合計額を現在の103万円から178万円まで引き上げる内容となっています。

過半数割れした与党は今後の政権運営のため、国民民主党の協力が不可欠となっており、政府が近くまとめる新たな経済対策にこの見直し案を盛り込むことに合意しています。

この見直し案が正式に決定した場合には、労働時間を調整していた方々の労働時間の拡充や、それに伴う手取り額の増加が期待できます。
その一方で、178万円までは所得税が発生しないことになるため、約7兆円といわれている減収分の財源確保という大きな問題が出てきます。

また、上述の引き上げ案に加えて、「もう一つの103万円の壁」といわれている特定扶養控除の年収要件の引き上げも検討の対象となっています。

特定扶養控除は、19〜22歳の学生世代の子を持つ親らの所得税を軽減する制度で、子の年収が103万円以下の場合に親の所得から63万円を控除する仕組みです。

学生の場合、本人の年収が130万円までは所得税を課されない「勤労学生控除」の制度がありますが、103万円を超えると親の扶養から外れて親の税負担が重くなってしまうため、学生バイトの働き控えにつながっているとの指摘も出ています。

これらの見直し案は、令和7年度税制改正で議論される論点となります。
与党だけで過半数の議席数を確保し、これまで与党のみで事実上決定していた税制改正ですが、過半数を下回った現在においては、与党以外の意向も反映しやすい状況にあるため、国民にとってより良い政策案が出てくることを期待したいですね。

今年の投稿は今回が最後となります。
一年間ありがとうございました。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

posted by 山崎義孝税理士 at 18:30| 参考
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