法人企業・個人事業主の税務・会計・申告・節税対策

税理士からのメッセージ

2025年07月01日

基礎控除等の引上げと青色事業専従者給与

今年も早いもので、半年が経過しました。

九州北部地方では統計上最も早い梅雨明けとなり、連日猛暑が続いています。
これだけ梅雨の時期が短いと、水不足が心配になりますが、6月末時点での福岡県の主要ダムの貯水率は100%に近い数値となっており、現状では心配なさそうです。

これから本格的な夏のシーズンを迎えますが、熱中症などには十分注意をし、夏を楽しみたいですね。

さて、令和7年度税制改正で、所得税の基礎控除等が引き上げられ、年間の給与収入160万円までは「所得税」が課されなくなりました。

それに伴い、青色事業専従者給与について、改正前においては所得税が課されない103万円以下の支給額としていた事業者が、今回の改正を機に、支給額を160万円に引き上げようとする動きが出てきているようです。

その一方で、青色事業専従者給与の支給額をむやみに引き上げることには、税務上のリスクが伴います。

青色事業専従者給与を必要経費とするには、以下の4つの要件を満たす必要があります。
1)青色事業専従者に支払われた給与であること
2)届出書を納税地の所轄税務署長に提出していること
3)届出書に記載された方法・金額の範囲内で支払われていること
4)青色事業専従者給与の額が労務の対価として相当であると認められる金額であること
このうち、4)については、労務に従事した期間や労務の性質及び提供の程度、事業規模等を勘案して決定する必要があるとされており、実務上は所得税が課されない金額を目安に支給額を設定しているケースも多いようです。

以上の要件があることから、青色事業専従者給与の支給額の変更に当たっては、変更後の支給額が労務の対価として相当であるか否かが判断基準の1つとなります。

支給額の変更が認められる可能性のあるケースとしては、青色事業専従者に限らず、全従業員の賃上げとして支給額を引き上げている場合や、人手不足や事業拡大等により青色事業専従者の作業量が増加した場合などが考えられるようです。

今回の税制改正を機に支給額を増加(変更)するなど、上記の要件を満たさない場合は、変更届出が認められることは難しいです。

また、改正直後の支給額の変更は「目立つ」ため、変更を検討される際は、労務内容などの実態を十分考慮したうえで行っていただくことをお勧めします。

なお、青色事業専従者給与の支給額を変更する場合は、所轄の税務署長に変更届出書を提出する必要があります。

posted by 山崎義孝税理士 at 18:00| 改正税法

2025年06月02日

年金制度改革法案(106万円の壁の撤廃)

梅雨入りの時期を迎え、徐々に蒸し暑くなってきました。
巷では、備蓄米の放出が話題となっていますが、今年も本格的な田植えのシーズンとなりました。
昨今の米の高騰を受け、今年は米の増産が予測されており、2025年産米の収穫量見込みは前年比40万トン増の約720万トンと、増加幅は過去20年で最大となっています。

備蓄米放出と2025年産米の増産によって、米の価格が下がることが期待されますが、その一方で、主食用米の需要量は長期的に減少傾向で推移しているため、日本人の主食である米を守るためにも、積極的にお米を食べていきたいものですね。

さて、今月のテーマは、先月中旬に閣議決定された「年金制度改革法案」についてです。

本法案により、厚生年金・健康保険の加入要件である「賃金要件」と「企業規模要件」が撤廃され、いわゆる「106万円の壁」がなくなることとなります。

現行においては、短時間労働者(パート従業員など)のうち、@賃金要件、A企業規模要件、B労働時間要件、C勤務期間要件、D非学生要件の全てを満たす方が厚生年金・健康保険の加入対象となっています。

「賃金要件」は、所定内賃金が月8万8千円(年収106万)以上で、「企業規模要件」は、従業員数51人以上の事業所となっており、多くのパートの方などは、配偶者等の社会保険の扶養に入るため、この「賃金要件」を満たさない年収106万円以下を意識して働いている現状があります。

「賃金要件」については、公布から3年以内に撤廃、「企業規模要件」については、令和9年10月から段階的に引き下げ(従業員数36人以上→21人以上→11人以上)が行われ、令和17年10月に完全撤廃されます。

つまり、令和17年10月からは、所定労働時間が週20時間以上(労働時間要件)で、継続して2カ月超勤務する見込みのある(勤務期間要件)パート従業員の方など(非学生要件)は、全て厚生年金・健康保険に加入することになります。

また、本法案では、在職老齢年金制度や、厚生年金保険等の標準報酬月額の見直しも行われています。

在職老齢年金制度においては、厚生年金の支給停止となる収入基準額が、現行の月50万円から月62万円に引き上げられます。
(令和8年4月から適用)

厚生年金保険等の標準報酬月額については、現行の上限額65万円から段階的に引き上げられます。
(令和9年9月〜:68万円、令和10年9月〜:71万円、令和11年9月〜:75万円)

posted by 山崎義孝税理士 at 18:00| 参考

2025年05月02日

相続税のAI税務調査の開始

今年もゴールデンウィークが始まりました。
今年のGWは飛び石連休や物価高の影響で、旅行等を控える方が多い傾向のようです。
しかしながらこのような状況下でも、11連休の強者もいらっしゃるようで、うらやましい限りです。

私どもの休みは暦通りの4連休で、加えて3月決算法人の申告が控えているため、GWの実感、楽しみは全くなしです。。。

さて、AI(人工知能)を活用した相続税の税務調査が今年の7月より全国で開始されます。
法人税や所得税の税務調査にはすでにAIが活用されており、昨年の追徴税額が過去最高を更新するなど、AI効果が出ているようです。

今回は、相続税がAIの標的となり、法人税等と同様に調査件数や追徴税額が増加することが予想されます。

近年、相続税の基礎控除額の引き下げの影響等により、相続税の課税割合は約1割に上り、申告件数等が増加しています。
それに伴い、調査の必要性の高い事案も増えてきており、相続税へのAIの導入も必然的な流れと言えそうです。

相続税の税務調査におけるAIの活用方法は、まず、提出のあった相続税申告書のデータの一つずつに、申告漏れ等のリスクに応じたスコアで「格付け」を行ないます。
このスコアは0から1の間の0.01以下の単位で付けられ、1に近いほど申告漏れなどのリスクが高いことになります。
そして、このスコアを基に、各国税局等は税務調査を行なうかなどの判断を行なうことになります。

過去に申告漏れ等が生じた相続税申告書や財産債務調書等のデータから、申告の誤りの傾向をAIに学習・分析させるため、より効率的で的確な税務調査が実現することになります。

AI導入に関しては、不気味な側面があるように思いますが、脱税などの悪質な事案に対しては、AI活用の価値は十分あるものと思われます。

なお、全国の税務署に提出された令和5年以降に生じた相続に係る全ての相続税申告書がAI判定の選定対象となるため、すでに提出している申告書もAIのターゲットとなっています。

posted by 山崎義孝税理士 at 14:00| 相続税についての一言メモ
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